あの「セロテープ」が価格競争から脱却できたワケ 「座って商談をする時間ももらえなかった」

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セロテープを切って使うところ
ニチバンが「セロテープ」で起死回生を図ったエピソードをご紹介します ※写真はイメージです(写真:Mayuko/PIXTA)
物価高が続く昨今、消費者心理としてはいいものをなるべく安く買いたいと考えますが、企業、生産者としてはコスト高を値段に反映させたい、でも値上げで顧客離れするのは困る、と悩ましいところでしょう。リブランディングコンサルタントの深井賢一さんの著者『売れる「値上げ」』から、ニチバンが「セロテープ」で起死回生を図ったエピソードを一部引用・再編集してご紹介します。

一時期、苦境に陥った『セロテープ』

『セロテープ』という接着テープがあることを知らない人はいないでしょう。しかし、これがニチバンの登録商標であることは、あまり知られていません。

『セロテープ』は、木材チップからできるパルプ=植物繊維のかたまりを溶かしてつくられる「セロハン」に、粘着剤を塗布した「セロハンテープ」の一種です。1930年代にアメリカの3M社(『スコッチテープ』の商品名で知られています)が世界で初めて開発・商品化。日本では1947年に、絆創膏(ばんそうこう)を基幹商品としていたニチバン(当時は日絆工業)が、戦後いち早く開発・製造に取り組みました。GHQがアメリカ本国からのセロハンテープの搬送遅れに困り果て、急きょ依頼をしてきたのに応えたことがきっかけです。

翌1948年には試作品をGHQに納品。同年6月には『セロテープ』を国産初のセロハンテープとして世に送り出しました。

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