あの「セロテープ」が価格競争から脱却できたワケ 「座って商談をする時間ももらえなかった」
その後、国内でも化学メーカーや文具メーカーなどが次々とセロハンテープの製造をし、市場に参入してきました。しかし、発売から76年経った現在も、ニチバンの『セロテープ』は、セロハンテープの国内シェア65%を誇るトップメーカーとして君臨しています。
最大の差異化は「天然素材」
国産初という歴史の古さや国内シェアの高さが『セロテープ』がセロハンテープの代名詞になっているゆえんですが、ほかにも『セロテープ』が競合製品に比べて誇れる特性があります。それは粘着剤も天然ゴムや松やになどの天然樹脂を使用し、植物由来の原材料からつくられていることです。巻き芯にも古紙パルプ配合率100%の再生紙が使用されています。
他社セロハンテープの中には、本体のセロハンは植物由来であっても、粘着剤にはアクリル樹脂やシリコーンなど石油系素材を原材料としている製品もあります。対して『セロテープ』は、発売当初から一貫して「天然素材が主原料」で、生物由来の商品につけられる「バイオマスマーク」も取得しています。
ニチバンでは、この環境にやさしい天然素材であることを何よりの「付加価値」として、パッケージや巻き芯に「天然素材」と大きく表示。広告や営業でも天然素材が主原料であること、また商品メリットなどもアピールしてきました。
例えば、天然素材が主原料の『セロテープ』は、石油系素材を使ったものと比べて、廃棄して燃やした際に二酸化炭素の排出を抑えられます。つまり、日本が2050年に達成をめざす「カーボン・ニュートラル」を具現する商品なのです。
また、植物繊維であるセロハンの特性として、力をかけずにサッと引き出せ、指だけでスッと切れるという使いやすさがあります。静電気が起こりにくいのできれいに貼りつけることができ、薬局など粉末を取り扱う場所でも安心して使えるといった利点もあります。さらに天然ゴムを原材料とした粘着剤は、どんな素材にも比較的貼りつきやすく、においも少ないため、汎用性・利便性の高さも特徴のひとつです。
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