脳の中年期は45〜75歳、老化のスピードには個人差も
人間は、身体と同様、脳も加齢とともに確実に老いていきます。
ただし、一般的な中年期、老年期という認識と、脳科学者として私が認識している脳の中年期、老年期には、ややズレがあります。身体的な衰えとは違い、脳の老化を判断する指標はすなわち記憶する仕組みにトラブルが起きているかどうかなのです。
極端に言えば、記憶が苦手で本人にも改善の意欲がない20代と、もともと記憶が得意でかくしゃくとしている70代なら、むしろ70代の高齢者のほうが脳が老化していない、という状況も起こり得ます。判断の指標を、注意不足や物忘れの頻度と置き換えても同様です。
一方で、一般的に中年になったと考えられる年齢はどのあたりでしょうか? 35歳だとさすがにまだ早すぎるかもしれませんが、40歳なら、本人も周辺の人も、もう中年だと答えるでしょう。
また、何歳からが高齢者なのかという議論は、全体的な高齢化の進行や社会制度の移り変わりとともに、だんだん上方に修正されつつあるのが現状です。
かつてなら55歳で定年退職、還暦を迎えれば完全に高齢者と認識されたでしょうが、現在では定年も65歳、さらには70歳となっていく中で、60代で働いている人はむしろ当たり前になりました。
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