東芝は、どうやって事業構造を変えるのか 3本柱のポートフォリオ見直しを示唆

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9月7日の記者会見で深々と頭を下げる東芝の室町正志社長

「改めまして、株主、投資家をはじめとするステークホルダー(利害関係者)の皆様には、多大なるご迷惑、ご心配をおかけしたことを、深くお詫び申し上げます」(室町正志・東芝社長)――。

 9月7日。一連の不適切会計問題を受け、東芝は焦点だった前2015年3月期の有価証券報告書について、約2カ月強遅れて関東財務局に提出した。本来の提出期限である6月30日から、いったん8月31日に延期し、さらに9月7日まで「再延期」するという、異例の展開だ。ただ、これで何とか、上場廃止といった”最悪の事態”は逃れた。

同時に東芝は過年度決算の修正も実施。2009年3月期から2014年4~12月期まで、過年度の累計修正額について、税引き前損益で2248億円も減額したことを明らかにした。

決算説明会の冒頭で室町社長は、有報提出の再延期を改めて謝罪。決算説明後には、「社会的に責任を痛切に感じております。東芝グループの再生に向け全力で取り組んでまいります」と、遅ればせながら決意を新たにした。またこの日は、未定となっていた、社内取締役候補者の3人も発表した。

行政処分など不透明で今期予想出さず

2015年3月期は、売上高6兆6558億円(2014年3月期比2.6%増)、営業利益1704億円(同33.7%減)と、増収にはなったものの、営業利益は大幅減。最終損益は378億円の赤字に転落したが、これは2010年3月期以来の最終赤字だ。

特に本業である営業利益の足を引っ張ったのが、原子力発電事業や半導体事業の減損、訴訟費用などで、1750億円の押し下げ要因となった。そのほかでは、NANDフラッシュメモリなどの電子デバイス事業が2166億円の黒字を稼ぐ反面、テレビやパソコン、白モノ家電などのライフスタイル事業が1097億円の赤字という、半導体依存の体質が露わになっている。

また通常であれば、本決算時、今2016年3月期の予想も開示するが、「営業面で行政処分や指名停止などについては予見できない」(室町社長)とし、今回の公表は見送った。もっとも、今のところ営業活動に目立った影響は見られず、10月末に発表予定の中間決算で、何かしらの指標は提示する見通しだ。

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