東芝は、どうやって事業構造を変えるのか 3本柱のポートフォリオ見直しを示唆

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室町社長は半導体依存の収益構造からの改革を強調した

不適切会計問題を起こした背景に、東芝の偏った収益構造があったことは否定できない。その意味で目下最大の課題は、電子デバイス事業で大半の利益を稼ぐ、バランスの悪い事業構成の見直しだ。

田中久雄前社長は電力・社会インフラ、電子デバイスに加え、ヘルスケアを、3本の柱として成長させていく方針だった。が、室町社長は「現在の柱は、ストレージ(NANDフラッシュメモリ)であり、電力やヘルスケアは若干見劣りする。3本柱という言い方は見合わせたい」と言い切り、ポートフォリオの見直しを示唆した。ライフスタイル事業の赤字についても「制約を設けない大胆な構造改革をしたい」と明言。目先の売上高が減少しても、構造改革を優先する。具体的な構造改革の中身は、年内中にも方針を打ち出すことを明らかにした。

特に不振の目立つテレビやパソコンは、多少の波はあるものの、長い間赤字が続いてきた。今回も、映像(テレビ)事業における経費計上などで61億円、パソコン事業における部品取引などで578億円、それぞれ税引き前損益の過年度修正(減額)が必要になっている。いずれもコモディティー(日常品)化が進む製品で、利益を出すことは難しくなっていた。

家電部門の改革は不十分なまま

田中前社長も何も手を付けてこなかったわけではない。「聖域なき構造改革」を掲げ、個人向けパソコン事業を縮小したり、北米などでテレビの事実上撤退を意味するブランド供与に切り替えたりしてきたが、それでも不十分だった。7月に辞任した9人の取締役のうち、田中前社長や西田厚聡元相談役、下光秀二郎元副社長、深串方彦元副社長は、テレビやパソコン部門を長く担当してきた。歴々の事業に深く関わってきた、”先輩”の取締役が一掃されたからこそ、さらなる構造改革を断行しなければ、意味がない。

ただし、室町社長からは会見でところどころ、「オーガニック成長を中心とする」「具体的な数値目標を持っているが、従業員にプレッシャーをかけてしまう。確度が高まった段階で示したい」といった、保守的ともみえる発言をした。目標を掲げることでプレッシャーになるようなことを極力避けたい様子が窺える。この辺のバランスを取りつつ、次の成長にどのように結びつけるかだ。

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