東芝、西室相談役"フライング発言"の意味 経営刷新委員会の人選を事前に公言

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元社長の西室泰三氏は2005年から東芝の相談役を務めている(撮影:今井康一)

会計不祥事で歴代3社長が一斉に東芝を後にしたことで、存在感を増しているのだろうか。7月22日、日本郵政の定例社長会見で、東芝相談役の立場からガバナンスについて問われた西室氏は「委員会を設置する。責任者は東京理科大の教授である伊丹(敬之)先生にやっていただく。(東芝の)社外取締役であるし、会社のことはある程度分かっている」と、ためらいもなく答えた。

「委員会」とは、会見の前日に東芝が発表した経営刷新委員会のこと。今後の経営体制やガバナンス体制、再発防止策などを議論する重要な組織だ。「責任者は伊丹先生」と西室氏が断言したのを受けて、東芝側に尋ねると「会社としてコメントは出していない」(広報部)。

そして7月29日に詳細が発表された。西室氏の言った通り、経営刷新委員会の責任者(委員長)は伊丹氏。22日の発言は明らかな”フライング”だった。

「絶対に辞めないでくれ」と慰留

7月29日に発足した経営刷新委員会。左から4番目が委員長の伊丹氏(撮影:梅谷秀司)

委員長の伊丹氏は、JFEホールディングスと商船三井の社外監査役で、東芝では指名委員会委員、報酬委員会委員。不適切会計に伴う役員8人辞任を受けて、穴が空いた監査委員会の委員長にも就いた。

伊丹氏のほか、刷新委員会のメンバーは東芝の社外取締役3名と外部の公認会計士、弁護士の合計6名。オブザーバーには元最高裁判所判事、三菱ケミカルホールディングスの小林喜光会長が選ばれた。

8月中旬にも発表される新たな経営体制については、田中久雄氏の辞任を受けて社長を兼務している室町正志会長の続投が報じられている。だが西室氏によれば、今回の問題で「ご当人(室町氏)は辞めると言っていた」。それに対し、「絶対に辞めないでくれ」「残るほうが辛いかもしれないが、それをあなたに期待する」と、西室氏が強く引き留めた。

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