機関投資家は、東芝への訴訟を検討している オリンパスには合計690億円を賠償請求
「当然、信託銀行に、訴訟を提起してもらうことになるでしょう」
国内の有力企業年金基金の幹部はそう語る。不正会計が発覚した東芝の株価は4カ月で3割下落。日経225にも採用されている東芝株に投資している年金基金は多い。
オリンパスのときには損害賠償請求
不正会計で損害賠償を請求された企業としては、オリンパスの先例がある。2011年11月に、過去の損失計上を先送りしていた事実を公表。その半年後ぐらいから、機関投資家による訴訟が相次いだ。損害賠償請求額は合計690億円を超える。国内の信託銀行6行も共同で279億円を請求している。
「オリンパスのときに訴えたのに、今回の東芝では訴えないというのでは、合理性を欠く」(前出の年金基金幹部)。
年金基金は信託銀行や投資顧問会社に運用を委託している。年金基金のおカネであっても、株の名義は信託銀行であることが多い。東芝の大株主は、日本マスタートラスト信託銀行、日本トラスティ・サービス信託銀行などだ。彼らは受益者に対し、忠実義務や注意義務などの受託者責任を負っている。
ある信託銀行幹部は言う。「今は、今回の事案が有価証券報告書の虚偽記載に該当するかどうか、見極めている段階。該当するのであれば、オリンパスの事例などを参考に、東芝についても訴訟を検討することになる」。
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