アサヒ「キンプリいじり」便乗は何がマズかったか 企業がSNSで活用する"ネットミーム"の落とし穴
2021年の東京五輪・パラリンピックの際に、ゴールドパートナーでもある同社が会場で酒類を提供することに対して批判が殺到し、提供停止を決定するという事態が起きた。ただし、これはアサヒビールというよりは、五輪組織委員会の決定の問題であり、同社が起こした不祥事とも言いがたい。
アサヒビールは、広告・宣伝に関しては、よく言えば慎重、悪く言えば保守的な企業であるように思う。だからこそ、これまで大きな炎上は避けられてきたとも言える。
今回の場合は、参照されたキンプリの投稿が「知る人ぞ知る」レベルの事例だったがゆえに、社内のチェック機能が働かなかったのかもしれない。
成功した「日清食品」と「シャープ」
一方で、インターネットミームを巧みに活用して成功している事例もある。例えば、日清食品は、話題化している「強風オールバック」の楽曲・動画とコラボしたCMを制作して話題化に成功している
先に述べたシャープの公式Xアカウントも、「名探偵コナン」の事例に限らず、トレンド化しているネタをうまく取り入れた情報発信をして大きな効果を上げている。
もっともシャープの場合、つい最近(10月2日)、公式Xアカウントの「中の人」である山本隆博氏が退職することが公表された。山本氏は「外の人」として継続的にアカウント運用に携わるとされている。
SNSの運用や、SNSで話題化するような広告・宣伝の企画は、「職人芸的」のようなところがあり、誰でもできるものでもなければ、一朝一夕でできるものでもない。企業もSNS運用が当たり前の時代になってきているものの、人材の確保、人材育成にはまだまだ多くの課題が残されている。
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