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アサヒ「キンプリいじり」便乗は何がマズかったか 企業がSNSで活用する"ネットミーム"の落とし穴

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  • 西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授
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そこで、企業のSNS運用担当者は知恵を絞るわけだが、常に新しいアイデアが生まれるわけではない。そうした際に、インターネットミームに便乗するというのが一つの方法として考えられる。

ところが、インターネットミームの活用は、うまくいけば広くシェアされる一方で、炎上するリスクも高い。つまり、ハイリスク・ハイリターンの宣伝術である。企業のインターネットミームの活用は、以下のようなリスクがある。

1:利用すること自体が「商業主義」「金儲けのため」と見なされかねない
2:文脈を十分に理解して行わないと、人を傷つけたり、差別をしたりする可能性がある

LGBTQ+の人たちへの差別と誤解されるリスク

例を挙げよう。

ゲリラ豪雨が起きた際に、それを文字って、SNSに「ゴリラゲイ雨」という投稿をする人がよく見られるようになった。

2022年に東急ハンズが公式Twitter(現X)アカウントから、このネタで投稿した。本件も「同性愛者への差別だ」という批判が起きて炎上し、東急ストアは投稿を削除し、謝罪をした。

個人であれば許容される投稿でも、企業が行うと問題視されることは多々ある。

同年の10月11日の「国際カミングアウトデー」において、花王、自衛隊、宅配すしチェーン「銀のさら」が公式SNSアカウントで行った投稿が批判を集めた。

この日は、LGBTQ+の人たちが、自らの性的指向をカミングアウト(開示)することを推奨する日でもある。これに便乗して、各組織のアカウントが、あまり知られていない組織の裏ネタを「カミングアウト」したのだった。

別の日に、普通に投稿をすれば問題はなかったのだが、カミングアウトデーに便乗して投稿してしまったことが「性差別」「LGBTQ+へのリスペクトが足りない」批判をされたのだった。

アサヒビールの件に戻ると、筆者はこの“炎上”が起きたときに意外に思えた。大手の飲料メーカー・酒類メーカーの多くは、何度か“炎上”を起こしているが、アサヒビールはあまり炎上を起こさない企業だ。

次ページが続きます:
【アサヒビールは、これまで大きな炎上はなかった】

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