石破政権の誕生は「日本経済正常化」の第一段階だ 真の経済発展政策「社会資本・主義」が始まる

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競馬である。

今週はついに、フランス、凱旋門賞。日本競馬界の悲願である日本調教馬による優勝。これを私も全力で祈りたい。そして、世間では、矢作芳人調教師、藤田晋オーナーのシンエンペラー(以前のこの連載でも触れたコンビ)がついにそれを実現するのでは、という期待が高まっている。

2つの心配はあるがシンエンペラーの凱旋門賞勝利を祈る

しかし、私は、2つのことを心配している。

期待が高まったのは、シンエンペラーの前走、アイリッシュチャンピオンステークス(以前の連載で触れた)で大善戦の3着だったことだ。

展開は向かなかったにもかかわらず、実力は1番であることを示した、ということで、フランス現地でもオッズは2~3番人気になっている、というような状況だからだ。

シンエンペラーは、兄が凱旋門賞馬ソットサスで、父はSiyouni(シユーニ)というフランス生産馬で、まさに凱旋門賞向きであると思われていることからも、これまでの日本調教馬とは違う、と思われてきた。

しかし、この人気というのが危険なのである。今度は徹底的にマークされる。そこへ、鞍上は「チーム矢作」の坂井瑠星騎手、というのが心配なのだ。

私は坂井の大ファンであり、日本で1、2を争う騎手だと思っている。しかし、凱旋門賞は、「なんとしても日本馬には勝たせまい」、という雰囲気があるのも事実である。欧州の騎手たちはあうんの呼吸で徹底的にシンエンペラーを封じ込めるだろう。人気となっていれば、それは勝負としても正しい戦法になる。矢作氏は、坂井で勝たないと意味がないというようなことも思っておられるらしいが、それはわかるが、リスクは高まる。

2つめの心配は、以前にも書いたが、アイルランドのサーフェス(馬場)は、固めで日本馬向き、アイリッシュチャンピオンステークスは、スピード競馬になりやすく、日本調教馬にもなじみのある質のレースであることで、実際、今年もそうだった、ということだ。

凱旋門賞は、まったく違う。じりじりとしたスローペースながら、精神的にスタミナを使うレースである。長い直線の前、さらにフォルスストレートと呼ばれる、最後の直線と間違えてしまうようなその前の直線、その前までも息の詰まるようなスローでの消耗戦が行われるのである。

サーフェスも含めて、アイルランド調教馬でディープインパクト産駒のオーギュストロダンは、アイリッシュチャンピオンステークス2着の後、現在のパリロンシャン競馬場の馬場状態を見て、回避し、ジャパンカップに直行を決断した。

ということは、シンエンペラーは血筋はロンシャン向きでも、日本の競馬で育った以上、凱旋門賞という競馬のスタイル(サーフェスだけでなく)に最適とは言えず、アイリッシュチャンピオンステークス時より馬の状態は上がっていても、パフォーマンスは落ちる可能性がある。

まあ、心配は尽きないが、とにかく全力で応援しよう。6日の日曜日夜(日本時間23時20分予定)。単勝。勝利以外、意味はない。好走は要らない。

※ 次回の筆者はかんべえ(吉崎達彦)さんで、掲載は10月12日(土)の予定です(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

小幡 績 慶応義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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