実は、ここまでの部分は、石破総裁誕生のサプライズの動揺が世間を埋め尽くしていた、9月28日に執筆した。
石破政権で実現しなくても、パラダイムシフトは起きる
その後、10月1日に石破内閣総理大臣が誕生し、解散が発表され、就任記者会見があった。そこで示されたもの、石破氏が首相として打ち出し始めたものは、「社会資本・主義」ではなく、ただの「新しい」資本主義に後退してしまったようだ。
ほぼすべての経済政策は、これまでの政策の継続である。さらに、植田和男日銀総裁との会談後の取材で「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」、と金融政策にも具体的に言及した。従来どおりのオールドパラダイムであるだけでなく、最悪の間接的介入だ。
しかし、もっとも重要な後退は、「地方創生は経済成長の起爆剤」という表現である。イシバノミクスの唯一の目玉、地方創生が、そのようなバブル的で膨張的な発想の延長線上にあっては、何の意味もないし、そもそも大失敗に終わる。
地方を「守る」という表現に示されていたように、社会の基盤が壊れつつある現状を、止血し、修復し、地道に立て直すこと、これこそが、現在、日本社会が求め、結果的に持続的な経済発展を可能にするものであり、「社会資本・主義」となりうるのである。
選挙のための、アジテーションフレーズだとしても、180度違う表現は実を表している。これはイシバノミクスが、「社会資本・主義」という新しい時代を切り開くきっかけになる可能性を腐らせる、不胎化させるものである。
しかし、前述したように、これは、石破氏が生み出したものではなく、社会の動きが高まっていることによるものであり、2024年にパラダイムシフトが起きなくとも、今後21世紀前半のどこかでは起きることになるだろう(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が、週末のレースなどを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。
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