毎回、思うことだが、24時間テレビのチャリティランナーは仕事と報酬のミスマッチが起きている。チャリティ番組とはいえ、総合司会はプロとしての業務になるためギャラが必要になるのは納得できる部分がある。しかし、走りのプロフェッショナルではないタレントに“走る”ことで高額報酬が発生するのはいかがなものか。
今回走るDAIGOの本業はミュージシャンだが、彼の歌をどれだけの人が聞きたいだろう? 走っている姿は見たいけど、歌う姿は見たくないというミュージシャンがいたら、本業として失格だ。個人的にはDAIGOには歌でチャリティを訴えてほしかった。
そして、箱根駅伝や東京マラソンを生中継している日本テレビにも言いたい。マラソンを“罰ゲーム的”に使うのは、そろそろやめるべきだと。
たとえば東京マラソンに出場するには、エントリー費1万800円がかかる。そのうえ、約10倍もの抽選を突破する幸運も必要だ。それでも走りたいという人がたくさんいる。また、チャリティ枠はエントリー費とは別途10万円以上の寄付が必要になる。そうしたことを知っていれば、高額ギャラのチャリティランナーの存在に違和感を持つ人も少なくないのではないだろうか。
マラソンとチャリティは相性がいい
とはいえ、マラソンとチャリティの相性はいい。世界各地のマラソン大会でチャリティ活動が行われている。もっとも有名なのは、毎年4月に開催されるロンドンマラソンだ。1000を超えるチャリティ団体に対して、出場枠を確保することで多額の寄付金を集めている。出場者は東京マラソンとほぼ同じで、約3万5000人。出場者のチャリティ枠は全体の3分の1を占めるほどだ(東京マラソンのチャリティ枠はわずか3000人)。
ロンドンマラソンにチャリティ枠で出場する場合、寄付するチャリティ団体を選んだら、その後は募金活動にいそしむことになる。家族や友人、会社の同僚などに、「自己ベストに挑戦するから応援の気持ちとして寄付をしてほしい」「こんな仮装で世間にチャリティをアピールするから寄付をヨロシク!」とお願いするわけだ。賛同した人たちがクレジットカードなどで入金をして、事前に登録したチャリティ団体へ送金される。目標額に届かなければ、差額は自分で負担する。そういうかたちで毎年100億円近い寄付金を集めているからこそ、ロンドンマラソンは単なるスポーツイベント以上の価値を持つ。
あまり知られていないが東京マラソンにもロンドンマラソンと同じようなシステムがある。クラウドファンディングで寄付金を募り、10万円以上集まると、そのランナーは東京マラソンに参加できるのだ(2016年大会の募集締め切りは10月31日)。
東京マラソンにチャリティ枠で参加すると“セレブランナー”と揶揄されることもあるが、こういう認識は間違っている。寄付をすることは悪いことではなく、むしろ称賛されるべき行為だ。ただ、日本人の持つ美意識からすると、寄付したことをアピールすることはあまり美しいとはいえないのかもしれない(東京マラソンにチャリティ枠で出場するとゴールドゼッケンになり目立つ)。しかし、そういう意識を日本人も徐々に変えていくべきだろう。
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