また、別の例として「遠い未来の予定に、重いものを入れてしまう」というのもある。たとえば私は先日「1冊の本を読んで、その解説を5000文字で書く」という仕事の依頼を引き受けたのだが、これを明日までにやってくれ、と言われたら確実に断っていた。しかし、締め切りが1カ月後だったため、未来の自分の感情を考えずに引き受けてしまったのだ。そして今、締め切り当日に本を読み、泣きながら深夜に5000文字の原稿を書く羽目になっている。
人間は、未来の自分が経験する感情を理解できないのだ。
さらに遠い未来になると、自分が何を重要視するかも変わる、という話が本書で出てくる。今大好きなアーティストがいて、そのアーティストのライブならいくら払っても行きたい、と思っていても10年後には興味がなくなっているかもしれない。理屈ではわかっていても、自分の今の感情は現在進行形の「生(なま)のもの」なので、なかなかそうは思えないのだ。
未来の自分とのつながりを強化する
ここまでの話をまとめると、大事なことは、
・人は、現在の自分の感情は、未来の感情よりも大事なものとして扱ってしまう
ということだ。
未来の自分とのつながりが強ければ強いほど親近感を感じ、倫理的な行動をとる傾向があるということらしい。一方で、現在の感情には引っ張られてしまうので、ここを解決することが、なりたい自分になるための重要なポイントであるわけだ。
もちろん、本書では、それを解決するための具体的な方法がいくつも紹介されている。上記で挙げたような、未来の自分を具体的にイメージすることから、未来の自分に手紙やメールを書くことも推奨されている。自分の顔写真を老化させるアプリを使って、未来の自分をよりリアルにイメージすることも紹介されている。
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