この本の趣旨を身も蓋(ふた)もなく言うと「将来なりたい自分になるための方法を書いた本」となる。
これだけ聞くと「よくある自己啓発本か」と興味をなくすかもしれない。おそらく、本を手に取った時点で、あなたはよく自己啓発本を読んでいるだろうから、同じようなテーマは見飽きているかもしれない。
では、もうひと言つけ加えてみよう。それは「未来の自分を具体的にイメージすることによって」だ。
これでも多くの読者は「そんなものはよく聞く」と思うかもしれない。数多くの本で「より具体的になりたい姿を想像することで、あなたはそのイメージに近づけますよ」と教えてくれるからだ。
ありきたりだが、超パワフルな方法
たとえば「ベンツが欲しいのですか? では、ベンツに実際に乗ってみて、より鮮明なイメージを持ちましょう」といったものだったり「お金持ちになりたいのですか? では、高級なホテルに行き、1杯2000円のコーヒーを飲んで、成功者の生活をイメージしてみましょう」といったものだ。
ありきたりな方法に見えるかもしれないが、この方法は極めてパワフルである。私はやりたいことが見つからない、と悩んでいる読者に向けて『物語思考』(幻冬舎)という本を執筆したことがある。内容についてごく簡単に説明すると「何をしたいのか、よりも、将来どうなりたいのかを考えて、その解像度をなるべく高くし、そのなりたい状態に近いキャラを設定し、それを演じることで行動を変えて、なりたい状態に近づく」といったものだ。
この『物語思考』の中でも前述の方法を勧めている。いかに、なりたい姿を鮮明に想像できるのか? は、なりたい姿になるためにもっとも大事なことの1つであるとすら考えている。
実際、私も大学受験時に、入りたい大学の在籍者のふりをして、インターネット上でさまざまな受験生にアドバイスをしたり、合格体験記を大量に読んだ後に自分で書いてみたり、実際に自分で大学に出向いて大学生のふりをして歩いたりするなどの行動をとっていた。なので、この「なりたい状態の解像度を上げていく」という点については心から賛成なのだが、この本を読むまで、1つの重要な観点が抜けていたことに気づいた。
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