「自信がない人」は簡単なことに気づいていない 自己肯定感を高められる「超簡単テクニック」を伝授

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太古の昔、野生の動物と共存していた人類は、襲われたり狩りに失敗したりして命を落とすことが少なくなかった。そこで彼らはどうしたら種を存続できるかを考えた。その答えは、戦闘力や頑健さで動物に遥かに劣る分、頭を使い、工夫を続けることだった。彼らはまず、自身の成功体験や成果にとらわれて慢心することが、失敗の理由だと考えた。

そこで、それらをなるべく早く忘れ、これから来るだろう脅威に備えるべく、新たなアイディアを生み出すことを続けた結果、慢心したり隙を作ったりすることなく、その身の防衛に成功してきたという。そしてその中で役立った成功体験を淡々と知識に変え、生き延びてきたのだ。

この積み重ねを経て、人類は過去の成功よりも未来への不安に苛(さいな)まれる思考を基本として所持するようになったのである。

その思考の中では、成功から来る自信は慢心や隙に変化するため、危険以外の何物でもない。

しかし、四方八方を野生の動物に囲まれる生活は、今のこの時代にはもう発生し得ない。その時代性から見ると、この基本思考は実際の生活にそぐわなくなってきているとも言える。

今回は、その基本思考から離れることで得られるメンタルケアテクニックを、皆さんに伝授したい。

予想だにしない返答

私がまだ学生で、アルバイトをしていた頃。

高校生にしてアルバイト先のレストランの古株になっていた私は、二つ年上で大学生の新人の教育係を担当することになった。

その大学生は神奈川県の女子大に通う地方出身の女学生で、見た目にはなんの変哲もなかった。

ある日、その大学生と休憩時間が重複し、休憩室で客には出せない気の抜けたコーラを片手に談笑していた時のことである。

私はなんの気なしに、「なにかスポーツとかやってました?」と尋ねてみた。

大学生は首を横に振り、僅かに困った顔で「運動神経悪くて……」とだけ呟き、俯いた。

地雷を踏み抜いた気がした私は、その気まずい空間を埋めるべく、「あ、じゃあ何か特技あります?」と、立て続けに聞いた。

今考えれば、どう考えても盛り上がってない会話を深堀りするようで悪手だが、当時まだ高校生だった私の会話術は、これが限界だった。

しかし、大学生は予想だにしない返答をよこしてきた。

「あ……。強いて言えば、書道、かな……?」

僕は見出した活路を広げるべく、続けた。

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