金沢市民が、価格の高いコーヒーを好むワケ

詳細な消費者データ「家計調査」のすごさ

ところで、コーヒー消費量一位の京都市民のエンゲル係数(=消費支出に占める食費の割合)はかなり高いのですが、それは、高い食品を好んで買うからです。これは、エンゲル係数トップの東京都民(23区内に住む人たち)や、横浜市民、名古屋市民などにも共通する特徴です。

日本の『家計調査』ほど詳細な調査はない

日本の『家計調査』と同類の調査は他の国でもおこなわれていますが、基本的に、消費者物価指数を計算するための基礎資料を得る調査であることが一般的で、日本の『家計調査』ほど、詳細なものはありません。モノがなかなか売れないなかで、消費者行動について分析し、マーケティング戦略や、地域振興(街おこし)に使おうとするなら、世界中で、これほど整備されたビッグデータはないといっていいでしょう。

実際にうまく活用したのが宇都宮市で、餃子への支出額が47都道府県庁所在市のなかで1位であることを売り物にして、「ギョーザの街・宇都宮」というイメージをつくり上げることに成功しました。政令指定都市である浜松市との1位争いは、毎年、最新データ発表時に話題になりますが、残念ながら、スタバの鳥取進出のニュースでは、最新データは使われませんでした。

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私の近著『マーケティングに使える家計調査―世界最大の消費者ビッグデータは「宝の山」だ』も、2012年と13年のデータにもとづいて、47都道府県庁所在市の食料品消費のデータを整理しています。これを第2部として、他方、一般に信じられている経済理論のいくつかについて、この膨大なデータを使って、あらためて検証して、意外な結論を導いているのが、第1部です。

そのなかでは、まず、公立小学校が全国学力テストで7回連続1位を獲得した秋田県の教育がもつ価値について論じています。また、コーヒーよりも紅茶を売るほうが利益につながりやすい、といった話もしています。冬物のバーゲンセールはどういったときに成功したといえるのか、値上がりが原因で、かえって消費量が増えるという「ギッフェン財」が、実際に日本に存在したことを示しています。本書をきっかけに、最新の『家計調査』に興味をもつ人が増えることを願っています。

講談社「本」2015年8月号より

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