できる人は、摩擦を恐れず「なぜ?」と問う 危険!「思考逃避」という落とし穴(下)

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たとえばこの事例だと、「上司であるB部長は、客から直接話を聞いたのか? 私が聞いてきた顧客企業の話の中から、いくつかの、自分のファイル検索に合ったポイントをピックアップして、当てはめただけではないのか?」ということに気づいて、この点についてきちんとB部長に「なぜXが、この場合の顧客企業の課題解決に合致していると考えられるのでしょうか?」と質問できるかどうか問われます。

――部長の意図を把握するために、反論ではなく「質問」をするわけですね。

この時点では、反論しようにも材料がないですからね。反論するなら、部長の意図を確認してからです。

過去の経験を振りかざす上司に、どう対応するか

ですが、ここでB部長が、Aさんの期待とは違って、「Xがよいに決まっている。君は何もわかっていない。言われたとおりにしたまえ」「あの顧客企業のことは私のほうがよく知っているのだ」などと言い出したとしましょう。実際にありそうな状況ですが、さて、あなたならどうしますか?

――そう言われたら、もうお手上げです。「わかりました」と白旗を揚げると思います。

だから、それが「思考逃避」なのです。大切なのは、つねに目的志向、課題解決思考で考えていくことです。「それは本当に、顧客のためになるのか」と自問自答することができれば、おそらく建設的な結果になるはずです。

顧客企業について、経験だけでものを言う部長のような人に対しては、あなたが1次情報(直接聞いた情報、あるいは直接あなた自身で分析した情報)を持っていれば、ファクトベースでやり取りすることが可能になります(「新しいニーズのような気がする」程度では、到底意味のある議論にはなりませんが)。

ですから、顧客企業から、こんなニーズに合う商品が欲しいとリクエストされたときに、「なぜそのようなニーズが生まれたのでしょうか」と直接聞いてみることも、視野に入れておくとよいでしょう。顧客企業が必要とするニーズの内容をあなた自身がもう少しよく理解していれば、その後に続く上司との緊張したやり取り自体、必要ないかもしれません。

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