co-meetingには、寺嶋さんのほかにも6件の応募があったという。うち半分が女性だった。週3勤務、リモートワーク、時短などのキーワードで、自由な働き方を求めている人たちが多く、介護をしながら働きたいという男性の応募者もいたという。今後も、自由な働き方で成果を上げてくれるような社員を増やしていきたいというが、実は難しい点もある。正社員と同じ処遇で雇用契約を結ぶとなると、労働基準法で定められた労働条件を明記しなくてはならないうえ、週の労働時間が短いと社会保険の加入にも制限がある。「“自由な働き方”をどう定めたらいいのか。これから就業規則をきちんと作るにあたって、考えなければなりません」(矢野氏)。
地方の優秀人材が集まる会社
パラフト掲載企業をもう1社訪ねた。「在宅OK」「時短勤務」のアイコンがついているCaster(キャスター)だ(現在も募集を継続)。2014年10月に設立されたベンチャーで、オンラインアシスタント(秘書)サービスを展開している。クライアントはIT関連の企業が多いが、ベンチャーから上場企業まで幅広く、設立から1年も経っていないにもかかわらず、すでに50社超もの企業から支持されている。
キャスターの強みは人材のクオリティにある。パラフトからはもちろん、ほかの求人メディアにも求人を掲載しているが、全国から毎月数百件もの応募があり、面接だけで月100回近く行っているという。が、厳選に厳選を重ね、実際に採用するのは1~2人だ。
同社のサービスはすべてオンラインで完結する。オンラインアシスタントは、スケジュール管理やアポイント調整のほか、メールの振り分け・返信代行、調査・分析、カスタマーサポートなど多岐にわたる業務を、メッセンジャー、メール、SNSなどを駆使してスピーディに行わなければならない。そのため、こうした業務をPC上でスムーズに行えるよう、ウェブに関する高度なリテラシーが必要だ。企業で勤務した経験もあったほうがいい。そうなると、選考に残るのはごくわずかになってしまうのだという。
応募の大半は女性。20代後半~30代半ば、もしくは40代後半から50歳くらいの人が多いという。ちょうどライフスタイルの転換期を迎えた女性ということだろうか。また、代表の中川祥太氏は言う。「話を聞いてみると、地方や都心への通勤が難しい地域に住んでいる人が多い。場所がネックになって働きたくても働けない。オンラインで完結する仕事ならそれが問題になりません」。
「場所にとらわれずに働きたかったんです」
現在、キャスターには20人以上のアシスタントが在籍しているが、そのほとんどは地方や海外に住んでいる。パラフトを通じて応募、この7月からオンラインアシスタントとして働いている山下恵子さん(仮名、30代)もそのひとりだ。
山下さんは京都に住んでいる。前職は教師。担任を務めていた教え子が3月に卒業したのをきっかけに、次のキャリアを模索していた。そこでこだわったのが「場所にとらわれない働き方がしたい」ということだったという。東京から高知に移住したブロガー・イケダハヤト氏のブログを読んでいたときに、パラフトのことを知った。もともと、趣味でウェブには深くかかわっていたし、教師のほかにカスタマーサポートの仕事をしていた経験もある。キャスターの求人を見つけてすぐに「やってみたいな」と思ったという。
実際に仕事が始まってみると、そのスピードに驚いた。複数社のIT企業を担当しながら、それぞれのリクエストにはなるべく早く対応しなければならない。勤務時間は9~18時だが、その時間は秒単位で過ぎていく。それでも山下さんは、この新しい仕事に満足している。「自分がやってみたいと思う働き方を根気よく探求していたら、自分のやりたいことができるようになりました」(山下さん)。「働き方」から仕事を探すという、新しい転職の形がここにあった。
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