「柔軟に働ける会社」は、こうやって探そう 今まで無理だった働き方も可能に

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パラフトには求人情報のほか、企業のインタビューなども掲載されている

会社設立後も、自宅やコワーキングスペース、カフェなどでそれぞれが仕事をしていて、全員が集まるオフィスを持たずにやってきたが、今年2月に初めて東京・西新宿にオフィスを構えた。ところが、代表の木村篤彦氏でさえ出社するのは週2回程度。現在、もっとも頻繁にオフィスに出勤しているのは、事務作業を担当しているパートタイマーの女性だ。週3日・1日4時間で働いており、ほかの社員の誰とも顔を合わせずに1日を過ごすことも多いという。

そんな“自由な働き方”で業務が進むco-meetingで、昨年末頃から新たに人材を採用しようという話が持ち上がる。すでに開発の一部を、フリーランスの女性エンジニアに業務委託していたため、「作業量としては、それプラスアルファというイメージ。フルタイム社員を採用するつもりはなかった」(木村氏)。そこへ、もともとの知り合いだった中川氏から、パラフトがオープンするという知らせを受ける。「時短やリモートに特化する求人サイトと聞いてぴったりだと思いました。中川氏からメッセージを受け取って、1時間以内に求人掲載を決めたくらいです」(COOの矢野貴明氏)。

キャリアチェンジを志す3児の母

パラフトに掲載された求人を見て、実際に入社した新入社員が寺嶋章子さん(32)だ。大学を卒業後、SIerに就職して10年。その間に子どもを3人出産し、時短勤務制度を利用しながら働いてきた。が、寺嶋さんは実はもう一歩のキャリアアップを望んでいたのだ。

「前職ではずっとマネジメント部門にいたのですが、エンジニアになりたいという思いがどんどん強くなっていました。自分でプログラミングの勉強をしながら、エンジニア向けのイベントにも積極的に参加するうち、転職を考えるようになりました」

ところが、3人の子育てをしながらの転職活動は思っていた以上に厳しかった。求人情報には「フルタイム、時短可」とあっても、実際に育児時短制度を使うには、勤続1年以上という条件がついているケースが多かった。有給休暇を取得できるのも、入社から少なくとも半年以上経ってからだ。末子はまだ1歳。急な発熱などで休まなければならない日は、半年以内に必ずある。

そこで見つけたのがパラフトだった。エンジニアの夫が教えてくれた。在宅OKで時間自由、しかも正社員というco-meetingのエンジニア求人が目に飛び込んできた。さっそく応募したというわけだ。実は寺嶋さんはエンジニアとしては未経験からのスタートだが、「それは気にしていない」と木村氏。「プログラミングができたとしても、新しいものを開発するうえではまた新たに学んでもらわないといけない。むしろその意欲を持っている方を採用したかった」。

また、子育てをしながらフルタイムで働いている妻を間近で見てきた矢野氏はこう言う。「育休から復職した女性は、制約された時間の中でもなんとかパフォーマンスを出そうと、仕事の仕方が明らかに変わる。3人のお子さんを育てながら働き、さらに趣味のプログラミングを続けていたという寺嶋さんに、大きなポテンシャルを感じました」。

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