大塚:その状況は、やめて当然と思います……。
会費ナシ、義務ナシの“新自治会”を発足
紙屋:ところがですね、うちの自治会で「会長をやめるので、自治会自体も閉めたいと思います」と伝えたら、会員のなかから「せっかく夏祭りや餅つきがあるおかげで団地のまとまりがあるんだから、なくしてしまうのは惜しいです。それだけは続られる組織を残しませんか?」という声が、自発的にあがったんです。それは「非常に美しい」展開ですよね。「それだけなら、やりましょうか」ということになりました。
大塚:いい流れですね。では、自治会は存続させたんですか?
紙屋:いえ、それまでの自治会を「休会」にして、“新自治会”を作りました。新自治会ではまず会費の徴収をやめました。以前は年会費を4000円も取っていたんですが、それはやめて事業収入と寄付で賄うことにしました。
やっている仕事は「夏祭り」と「餅つき」くらいなので、「買った人がおカネを払ってくださいね」という形にして、あとはみんなでカンパしあおうか、という程度で成り立ってしまうんです。これで集金業務もいらなくなりました。
大塚:PTAもそういう形にできるといいのにと思います。イベントをやるときは、その都度参加者からおカネを集めればいいし、もし「寄付してもいいよ」という人がいたら寄付してもらえばいいんですよね。
紙屋:同時に、「自治会に入っている人、入っていない人」という区別もなくしました。それまでは、会費を払う人だけを「自治会員」として扱ってきたんですが、会費をなくしたので、「団地に住む人なら誰でも自由に参加できる」ということにしたんです。
もちろん活動義務はいっさいないので、参加しないのも自由です。班長の仕事を輪番制でまわすのもやめて、完全なボランティア(やりたい人がやる形)を原則にしました。当然、校区にも入っていません。
大塚:すばらしいです、PTAもその形にしたい……。その後“新自治会”はどんな感じですか?
紙屋:結局10人くらい残ってくれて、気持ちよく活動しています。ちょうど1週間くらい前に夏祭りの話し合いをしたんですけれど、いまは自発性がすごくいい形で発揮されていますね。
大塚:「強制をやめたら誰もやらない」なんてことはなかったんですね。必要な活動に対して、必要な人数が残ったということでしょう。自治会やPTAの強制に悩む全国の人たちに、希望を与えてくれるお話です。
※後編に続く
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