PTAを上回る強制力?「町内会」のナゾ ここにも善意による強制が!

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 要は、「自分が住んでいる町を、住民みんなのボランティア(自発性)でより良くしよう!」という組織。それが町内会なのです。

もちろんPTA同様、任意加入が前提の団体ですが(強制加入にできる法的根拠はない)、昔からの慣習で「その地域に住む人は全員加入するもの」として扱われてきました。しかし昨今では加入をやめたり断ったりする世帯も増えており、全国的に加入率が低下しています。

昨年秋に発売されて以来話題を呼んでいる『"町内会"は義務ですか?』(小学館新書)には、そんな町内会のフシギな実態が、著者の実体験を通して生々しく描かれています。

町内会は必要なのか? どうすればラクに楽しく付き合えるのか? 著者の紙屋高雪さんとともに、考えてみたいと思います。

自治会長は“形だけ”では済まなかった

大塚:紙屋さんは30代のとき引越し先の街で自治会に入り、ある日突然、会長になられたそうですね。

紙屋高雪
漫画評論家&ブロガー。1970年生まれ。京都大学法学部卒。30代のとき、引越し先の地方都市・H市で町内会にかかわり始める。妻と娘の3人家族で、普段は“9~17時”で勤務。著書『オタクコミュニスト超絶マンガ評論』(築地書館)など。ブログ「紙屋研究所

紙屋:ええ、それまで活動にはほとんどかかわっていなかったんですけれど、自治会長が突然亡くなってしまって、後継が見つからなかったんです。一度は「自治会を閉めようか」という話も出たのですが、知り合いから「閉めるのはもったいない。“形だけ”でもいいから会長に……」と言われて、つい引き受けてしまいました。

大塚:「(自治会を)閉めようか」という話が出たのは健全ですね。PTAだと会長の後任が見つからなくても、「閉めようか」とはまず言えません(苦笑)。でも紙屋さんは、そこで会長を引き受けたと。

紙屋:“形だけ”ならと思い……。でもやってみたら、やはりちっとも形だけではなかった(笑)。たとえば、新しく団地に入ってきた人に加入を呼びかけるという仕事があって、「こんにちは~」と家を訪問しなきゃいけません。そうすると、実にイヤ~な顔をする人がいるんですよ。“飛び込み営業”みたいで、すごく苦痛でした。

次ページやはり必要性を問えない現状が……
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