ゴーストタウン化させない「小樽」の"生き残り策" 観光都市から「健康で長く暮らせる街」へと進化

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目をつけたのは、空き区画が増えていたウイングベイ小樽だ。「ここにウエルネスタウンを設ければ、コンパクトシティが実現でき、ウイングベイのゴーストタウン化から再生できるかもしれない」と櫛引氏。

小樽市
住宅地の対面にあるウイングベイ小樽。小売り事業者のマイカルが開発した日本で3番目に大きい施設だったが、マイカルの経営破綻を受けて衰退の一途をたどる(写真:筆者撮影)

空き区画だらけのショッピングセンター

ウエルネスタウン構想は、2020年7月頃に「小樽築港地区におけるウエルネスタウン構築に関する協定」を結び活動を活性化することになる。協定を結ぶにあたり、北海道済生会はウイングベイ小樽に話を持ちかけると、二つ返事だった。

ところが、当時の市の関係者からは思わぬ反撃に遭う。

「市に計画アドバイザーとして協力を仰ごうとしたら、『私たちに何をやれというのですか』と答えられましてね」と櫛引氏。前例がなく、形の見えないウエルネスタウン構想に対して、市の関係者はどこか躊躇をしているようだった。

やりどころのない悔しさと悲しみに暮れた櫛引氏は、行政の力を借りずして、まずはウエルネスタウン構想に着手した。

以来、櫛引氏らは社会保障制度の事業サービス外であるフードバンクや、地域共生事業に精を出す。こうして引きこもりがちな高齢者に、居場所を作っていった。

この様子を見た市の担当者は、1人また1人と変化していく。手を差し伸べ、イベントに協力し合うようになったのだ。

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