ゴーストタウン化させない「小樽」の"生き残り策" 観光都市から「健康で長く暮らせる街」へと進化

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小樽市
夜の小樽運河。日本人はもとより多くの外国人客が訪れている(写真:筆者撮影)

時代は移り変わり、港湾都市としての機能が衰退した昭和後期を経て、小樽市は観光客が年間800万人ほど訪れる観光都市として変化を遂げた。

一方で、居住者は坂を転げ落ちるかのように減少。1964年に20万人近くいた住民は、2024年には約半分となり、高齢者が増加。そこで上がった問題は、居住者の健康維持だった。

高齢者の生活をはばむ雪と坂

小樽は急傾斜地にある“坂の町”。高齢者には住みやすい環境ではない。おまけに豪雪地帯だ。雪深い冬は、徒歩はおろか、車での坂道も警戒しないとならない。

小樽市
2月は毎日ドカ雪が降る。歩道も除雪をしないと歩くことがままならない(写真:筆者撮影)

「高齢者が容易に生活できる環境ではないですよね。本当は自力で生活できるはずのお年寄りが引きこもって、介護の等級も上がり、体調も悪くなっていくのをただただ見守るのは、胸が苦しくなります」

これは、往診した際に櫛引氏が高齢の患者を目の当たりにした際の回顧だ。大幅に増える在宅高齢者に対して、スタッフ数は対応できる人数までは容易に増えないため、1人当たりの受け持ち患者の数が増える。

とはいえ、1日で往診できる数には限界がある。ゆえに医師が容易に回診できないという現状ももどかしかった。

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