堀口大聖さん:もともとプレゼンに興味があったのですが、優勝する前と後ではプレゼン方法の見方が変わりました。例えば、手を動かすことで人の注目の視点が変わるとか。
山本拓実さん:ロボットのパーツ1つひとつを作るのにとても時間がかかりましたが、細部の構造が分かり、そのすごさを知りました。また、プログラミングしても上手く動かず何回も同じ部分を作り直すことで、諦めずに物事に取り組むことの大切さに気付けた気がします。
ロボットはツールに過ぎない
――先生から見た成果はどのようなものですか?
成果としては、やはり一連の経験によって子どもたちが成長したことがいちばんですが、それをサポートした大学生の変化も大きいものがありました。
私にとって、ロボットはツールであって、それを作ること自体が目的とは思っていません。ロボットを通じて、子どもたちには人間力を身につけて欲しいと考えています。つまり、これから社会を生き抜く為の総合的な力である創造力、コミュニケーション能力、問題解決能力などですね。
そのため、あえて生徒たちを突き放すこともするし、厳しい言葉を投げかけることもあります。すぐに答えを教えてしまうのは楽ですが、自分たちの限界まで原因を探った後に質問ができたら意味があることだと考えています。はじめから人に聞いたら勉強になりませんよね。
また、興味深いことに、科学部の活動を通じて、学校のさまざまな活動に積極的に関わるようになってきた子もいます。例えば、生徒会やクラスでリーダーになって活躍する子が出てきたんですね。
子どもたちの進路ですが、昨年、科学部を卒業した生徒の70%が高専に進みました。科学部がその要因の全てではないと思いますが、きっかけのひとつにはなっていると思います。一方で、科学部が毎年のように国際大会に出場しているからか、秋田国際教養大学など国際的に活躍することを目指して進学していく生徒もいます。
今回の優勝は、未知の世界に踏み込みながら自分たちでつかみ取ったものです。夢は実現できるんだという成功体験になったのではと思います。また、そのためにどれだけの苦労が必要か、また、それを次にどう活かすか。そうした発想を多くの生徒が持ってくれたら、今回の優勝はより意味のあることになると思います。
学校では、スポーツの部活動をしている子が目立ち、コンピュータなどを使う子どもたちはおとなしいイメージがあります。しかし、私たちの科学部はレベルの高い子どもを養成するという場所ではなく、むしろ課題を抱えて悩んでいるような子どもが科学部を通じて元気になって意欲をもって取り組んでくれることを望んでいます。
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