その過程では、レゴエデュケーション関係者や企業でプレゼンを行っている人にも相談しました。質疑応答に引っ張り込むような内容も盛り込みました。質疑の時に話される英語を子どもたちは全ては理解できないと思ったため、キーワードを聞き取ったらこう答えようというトレーニングをしていったのですが、当日はこちらの狙い通りの質問が投げかけられました。そこできちんと生徒自身が答えられたので、審査員たちの評価が上がりました。
実際、質疑応答が採点でとても大きなウェイトを占めていると言われています。なぜかといえば、もしそのロボットを生徒ではなく先生が作っていたら、子どもたちは質問に対して的確に答えられないからです。レゴで作るということは、先生が作ってしまうこともできるんです。
教師の側から答えを教えない
――そこまで準備されていたとは驚きです。そのほかに、気をつけていたことはどんなことでしたか。
こちらから教え過ぎず、ヒントを与えることを徹底しました。例えば、昨年WROに参加した際のロボットにはセンサーを使用することが必要ではないかと生徒たちに知らせ、どのセンサーが良いか検討しているうちに、Kinectセンサーというものがいちばん最適だと、子どもたちが自ら気づいたんです。
ただ、そのセンサーを使うとなるとプログラミング言語であるC言語を習得する必要がありました。そこで、私からは「キネクトを使うかどうかは自分たちで考えなさい。使うとなると難易度が高いから時間も工数もかかるし、大会に間に合わなかったら何にもならない、形にもならないかもしれない。どうする?」と伝えました。
そこで生徒たちは「やります」と答え、昨年の夏くらいからC言語を独学で学び始めました。自分たちでやってみて分からないところは、レゴを販売している会社の技術者の方に相談したり、大学でC言語を使える人に相談していました。
実は大会当日、プログラミングにミスが見つかったんです。でも、自分たちで全て作って来たのでどのように修正すればよいか分かっていました。これが、人任せだったらどうにもならなかったと思います。まず自分たちで実験してみる、試行錯誤してみるということが重要だと考えています。また毎日、活動日誌をつけていましたね。123ページにもなり、成果、次の目標を日々記して、作業効率を上げることに役立てていました。
――優勝チームの子たちにはどんな学びがあったでしょうか。チームの3人に聞きます。
長野春太さん:プレゼンを通じて、自分が言いたいことを表現する力、人に伝える力が身に付いたと思います。朝からプレゼンの練習を行ったり、ジェスチャーをどうするかなど、自分たちで分からない部分は分かる人に相談して、最終的には自分たちで全て決めました。自分たちは作ったロボットについてよく分かっていますが、審査員は知らないという状態でプレゼンする必要があったため、そのような状況ではどのように表現したらいちばん伝わるかをかなり研究しました。
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