インバウンド増えても大変「外食業界」苦悩の訳 コロナ禍前から圧倒的に変わったことは何か

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そこで選ばれるのは、行く価値のある店にほかならない。そもそもサービスレベルが高かったり、SNSで話題だったり、食べるべき料理があったりと、何かしらの価値がある店ではないと予約をしてまで行こうとは思ってもらえない。その結果、顧客体験価値が大切になり、高付加価値化の流れが加速していく。

その価値をつくるものは何かといえば、結局、人でしかない。人手が足りなくなればなるほど、人による仕事の価値は上がり、競争力の源泉になるだろう。

「働く価値のある企業」になれるかどうか

現在、人手不足の中でも、人材の採用に成功し、勝ち残っている外食企業も存在する。それは働く価値のある何かを持っている企業だ。地域で必要とされている店や、そこでしか学べないノウハウなど、何かしらの働く意味や意義のある企業になる。つまり、働く価値がある企業に人が集まり、その人が行く価値のある店をつくるともいえるだろう。

そこでつくり出される価値は、汎用性の高い武器になる可能性が高い。大阪王将の例でいうと、創業以来、店で提供している餃子を磨き続けてきたことが圧倒的な価値を生み、冷凍食品としても大きな支持を集めるまでになっている。公園再生事業やホテルのマネジメントを行う企業も、飲食店を運営する中で磨き上げてきたノウハウを武器にして、他業界への参入を果たしている。

つまるところ、競争の激しい外食業界を生き抜く強みは、他の業界で通用する武器になるということだ。そうした側面からも、外食という枠を飛び出して、存在感を発揮する企業は増えていくだろう。

この連載の最初の回です
三輪 大輔 フードジャーナリスト

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みわだいすけ / Daisuke Miwa

1982年生まれ、福岡県出身。法政大学卒業後、医療関係の出版社などを経て2014年に独立。外食を中心に取材活動を行い、2019年7月からは「月刊飲食店経営」の副編集長を務める。「ガイアの夜明け」に出演するなどフードジャーナリストとしての活動の幅を広げ、これまでインタビューした経営者の数は 500 名以上、外食だけでも200名近くに及ぶ。

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