インバウンド増えても大変「外食業界」苦悩の訳 コロナ禍前から圧倒的に変わったことは何か

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こうした中、多くの飲食店が値上げを実施しているが、十分に行えているわけではない。社会保険料などの公的負担が上がり、可処分所得が伸びていない中で値上げをしても客離れを起こすリスクがある。また、日本では大手ファストフードチェーンが値上げを行ったときに顧客から反発があるなど、安売りに対する支持も大きい。

これまでと同じやり方では、多くの飲食店が生き残っていけない。そこで外食業界で培ったノウハウを生かして、別の業界へ挑戦する流れも生まれている。最たる例が、食品の製造・販売だ。

本業以外を伸ばしている「大阪王将」

この分野で、いち早く大きな成功を収めているのが「大阪王将」が販売している冷凍餃子ではないだろうか。大阪王将を展開するイートアンドホールディングスの2024年2月期決算では、外食事業の売り上げが144億8800万円なのに対して、食品事業の売り上げは214億3300万円に及び、本業を上回っている。

同社はコロナ禍でも食品事業が経営基盤をしっかりと支えていたため、飲食店のテクノロジー化など、積極的な投資を続けることができた。こうした動きは今後、さらに加速していくのは間違いない。特に外食産業とは別の収益構造のビジネスに挑戦をし、事業のポートフォリオを豊かにしながら、経営の安定化を目指す流れになるのではないか。

今後、どんなにインバウンドが活況を呈しても、残念ながら「29兆円の壁」を超えるのは難しいだろう。その理由の1つが、外食機会の減少だ。コロナ禍以降、特に居酒屋をはじめとしたアルコール業態では2回転目、3回転目の需要が激減している。

一方で増えているのが予約での来店だ。予約管理システム「ebica」を運営するエビソルによると、2023年は年間を通して総予約数がコロナ禍以前を上回った。特にウェブ予約の伸びが顕著で、予約をしてから来店する流れが一般的になっていることが読み取れる。つまり、突発的に飲みにいくことが決まるのではなく、あらかじめ日程を決めたうえで、行きたい店を決めて飲みにいく人が増えているのだ。

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