人手不足の外食「店員が辞める・辞めない店」の差 コロナ「5類」移行で客数戻りつつある中での試練

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(写真:jazzman/PIXTA)

新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行後、リモートワークから原則出社へと切り替える企業が少なくない。それに伴い、オフィス街付近の飲食店が活気を取り戻しつつある。

日本フードサービス協会の「外食産業市場動向調査」を見ると、「5類」扱いになった5月の外食チェーンの月次売上は順調な回復となったようだ。対前年同月比の既存店売上増減率は、多くの会社が10%超プラス。

これまで大きなダメージを受けていた居酒屋などでは、軒並み2~3割増となった。コロナ禍以降、厳しい経営環境に耐えてきた外食業界も改善してきたことが数字でもわかるようになってきた。

客足が戻ってきているのに人手不足

とは言え、コロナ前の2019年と比べてどうかといえば、まだバラツキがある。ファストフード業態ではコロナ前をも大きく上回る実績となっていて、ファミレス、ディナーレストランでもほぼコロナ前まで回復している。しかし、居酒屋、パブといった飲み屋業態に関しては、依然としてコロナ前の7割弱までにしか戻っていない。

コロナの3年間を経て、日本での外食習慣はかなり「健全化」してしまったようで、深夜帯での客数が戻っていないということらしい。ただ、遅い時間帯の都心の電車の混雑ぶりを見ていると、かなり戻ってきたような感覚もあり、5類移行がフル稼働する6月はさらに上向きそうだ。

感染者の減少で復活しつつある外食業界ではあるが、一難去ってまた一難、また新たな試練が迫っている。せっかく客足が戻ってきているのに、店には人手が足りないのである。

少し前、吉野家が人手不足のため新宿エリアの一部店舗を休業したことが、メディアで報じられた。大手チェーンの交通の便がいい都市部の店舗でも、人員確保が難しくなっているのだ。コロナ禍が落ち着いても、人手不足で営業に支障をきたすという深刻な問題が起こっている。

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