人手不足の外食「店員が辞める・辞めない店」の差 コロナ「5類」移行で客数戻りつつある中での試練
コロナ禍からの「病み上がり」の外食産業にとっては、踏んだり蹴ったり、とも言うべき状況なのだが、今後どうやって人手不足を解消していくのか。
一般的な対策を検索してみると、①周辺の外食店より相対的に高い時給を整える、②インセンティヴ制度を整える、③福利厚生を充実させる、労働環境を整える、④融通の利くシフト体制を整える、⑤シニア人材の活用促進、といったキーワードが出てくる。
まさにそのとおりだ。こうした体制が整備されれば、相対的に人材確保はしやすくなるであろうし、働く側にとってもより望ましい労働環境になるだろう。ただ、人材市場の緩和が見込めない以上、年々その競争環境は厳しくなっていくため、こうした対策も企業として投入できる原資を確保することが前提となる。
当たり前のことではあるが、十分な収益を確保して人材に投資できない企業は、存続できないことが再認識されただけ、のような気もする。
人材教育に力をいれる「餃子の王将」
または、人手自体が少なくなるような体制を作る、という趣旨で、①ロボットの導入、②DX導入による事務作業の効率化といった選択肢もあるが、これこそ、大きな先行投資を伴うものであり、収益力、資本力を備えた事業者でなければ、この作戦自体を実施できない。ロボット導入で大手ファミレスチェーン各社が先行しているのは、こうした背景からであり、資本力で劣る事業者にとっては解決策とはなりづらいだろう。
こうしたことを考えていくと、思い出すのは、餃子の王将の事例である。かつて労働環境が厳しく、訴訟なども起きていたこの会社は、体制を改善すると共に、人材教育に力をいれるようになった。
「王将調理道場」により従業員の調理スキルを向上させることに努め、「王将大学」によって現場管理や店舗経営を学ぶことができるような体制を整えた。また、フランチャイズ店舗を、経験を積んだ従業員の独立の出口として位置付け、教育と経験を積んだ従業員が、フランチャイズ店の「社長」として独立するというキャリアの道筋を示した。
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