人手不足の外食「店員が辞める・辞めない店」の差 コロナ「5類」移行で客数戻りつつある中での試練
帝国データバンク(TDB)の「人手不足に対する企業の動向調査(2023年4月)」によれば、今、人手不足の状況は、過去最高だった2018年11月、12月の状況に迫るようになっている。
コロナ禍が始まった2020年に大きく落ち込んだ人手不足感は、以降徐々に上昇が続いていたが、ほぼコロナ前の状態に近づいている。この背景はご存じのとおり、少子高齢化により日本の生産年齢人口が急速に減少していくことにある。
こうした人口減少を補うように増えていた在留外国人の人口もコロナ期間中に減少し、海外との出入りが緩和した2022年にやっとコロナ前に戻ったという状況にある。要は、働く人の頭数が減っているからであり、この傾向が緩和することは考えにくい。
パート、アルバイトに依存している外食
なかでも、外食産業の置かれている状況は深刻だ。さきほどのTDBの調査は、業種別の逼感についても調べているが、外食は非正規社員では1位、正規社員でも8位となっており、人手を確保することが大きな課題となっていることがわかる。
外食の場合、業種の性質上、労働力のかなりの部分をパート、アルバイトに依存しており、若者人口の減少からコロナ前にもすでに人材確保は難しくなりつつあった。そのうえ、コロナ禍によって多くのパート、アルバイトを雇用できなくなった外食からは多くの授業員が離れていかざるをえなかった。
「5類」に移行したからといって、急にまた働きに来てくれるわけもなく、人手不足の逼迫がより進んだということもある。また、労働需給からも外食の時給は上昇傾向にあり、企業にとっての人件費負担は拡大傾向にあったのだが、最近の物価上昇に起因する賃上げ圧力はさらに拍車をかけている。店舗運営に必要な人員確保ができない状態が続けば、需要がコロナ前に戻ったとしても、外食は経営が成り立たない。
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