女子サッカー解説者の江橋よしのり氏は、準決勝におけるなでしこジャパンの戦法(終盤勝負)について、「主導権を捨てる決断」「勝負を見極める目」を評価していましたが、前述のとおり大儀見選手が「我慢できる」ように自分を成長させたことも、大きな貢献要素だったことしょう。
佐々木監督も、「彼女(バセット)がクリアしていなかったら、大儀見が決めていた。川澄と大儀見のゴールでもあった」と両選手を称えました。
アンガーマネジメントでも、イライラは「情動伝染」といってチーム内や職場内に伝播し、冷静な判断力を失わせるものと考えます。選手たちが感情コントロールという前回大会以来の課題に向き合ったことは、チームの雰囲気を確実によくしたはずです。
「あやとは、パスひとつで会話できる」
その証拠に、大儀見選手はこうも話しています。 「世界を相手にした時のなでしこの武器は、メンタル的な部分だと思います。大きな大会になればなるほど力を発揮するチームで、本番に強い。追い込まれれば追い込まれるほど力を発揮するメンタリティというのが、なでしこにはあると思いますし、それを耐えきるだけの精神力もあります」。
そしてその精神力の形成に大きく寄与したのが、主将の宮間あや選手ではないでしょうか。大儀見選手は、なでしこジャパンの宮間選手とは「話をしなくても、パスひとつで会話できる」と、信頼関係の強さを示します。
ということで、ここからは宮間選手が感情面からチームを鼓舞し続けた「珠玉の言葉」について、アンガーマネジメントに絡めて考えます。
宮間選手の語る言葉は、(ご本人が意識してのことかはわかりませんが)実にバリエーション豊かです。今大会のスイス戦直前には「まず自分を信じて、味方を信じて、来られなかった人たちの分も頑張ろう」、オーストラリア戦では「今本当にチームが一つになっているし、このチームで最後までいきたい」と、チームの一体感を強調します。
イングランド戦では打って変わって、「ここに立っているのは特別なことじゃない。自分たちがいつもしっかりやっているから、ここに立っているのも当たり前。勝つのも当たり前」と、冷静さを前面に。
そして決勝、アメリカ戦では「耐えてはね返す力をみんなで積み上げてきた。W杯は渡さない」。と、勝利への強い執念を語りました。
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