「緑を多く取り入れたり、席は1人掛けのテーブルを多めにしました。当初は、増加するオフィスワーカー向けに、1人でパソコンや読書ができるように作ったのですが、結果的にはベビーカーを使う方に多くご利用いただいているようです。
二子玉川は子連れの方が多いのですが、お父さんやお母さんが、お子さんの顔を見られる向きにベビーカーを置いて、テーブルはサイドテーブル的に使ってコーヒーを置く。そういうシーンが想定以上にあって、実際にお客様からも利用しやすいという声をいただいています」(増田氏)
今でこそ、ニコアンドコーヒーの中でもトップクラスの忙しさを誇るという同店舗だが、もともとはショップのみの店舗だった。しかし、「カフェが周辺に少ない」などの理由から、商業施設側から熱烈な誘致を受け、カフェ併設店舗となったそうだ。
こうした効果もあり、同店舗の売り上げは、2倍以上になった。店舗自体が広くなったこともあるが、確実にカフェとアパレル・雑貨店舗の相互作用が生まれている。
カフェ併設による収益の増加は、二子玉川ライズ店以外でも同様。家族での来店時、母親が洋服を選ぶ間に、他の家族がコーヒーを飲んで待つ場面もある。また、アパレルだけだと、店舗に人が来ない時間帯もある。しかし、カフェがあれば、売り場には全時間的に客が来る。そこに来た人が、ついついアパレルや雑貨も見て、それらを買う……なんてこともあるわけだ。
地域の色に馴染む店舗
また、ニコアンドコーヒーの強みは、場所ごとに、地域の色に染まる店舗が生まれていることにもある。
通常、チェーン店の出店では「ドミナント戦略」を取ることが多い。特定のエリアに集中出店し、コストを下げることなどを通じて、その地域での競争優位性を獲得する戦略だ。日本のカフェチェーンでは、スターバックスが日本上陸期に、首都圏に集中出店し、ブランディングにもつなげたことで知られている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら