2浪「東大文1」30年前に地方から目指した彼の奮闘 東大試験でまさかの事態、どう挽回したのか

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「この年は、早稲田大学の法学部と、中央大学の法学部も受験してどちらも受かりました。国語の失敗はショックで、試験が終わってから1週間くらいうつ気味でしたが、熊本高校から一緒に浪人していた友達が励ましてくれたのがよかったですね」

友達の支えもあり、2次試験本番で挽回できると信じて、なんとか切り替えようと努めていた田中さん。しかし、立ち直り切っていなかった彼は、まさかの大ミスをやらかしてしまったのです。

試験が終わって、恐ろしいことに気づく

「地理の第1問で、今でも忘れもしない大失敗をしました。『イランとイラクの相違点と共通点を、次の各項目について60字以内で述べよ』という問題だったので、見た瞬間にこれは書けると思い、バーっと書き進めました。しかし、試験が終わってから、恐ろしいことに気づきました。問題用紙に『なお、解答にあたっては項目ごとに改行し、項目の冒頭に(a)等の記号を付すること』と書いてあったのです……。

私はそれを見落として、改行もせず、記号もつけず、ベタ書きしてしまったのです。私は、自分が情けなくなって、泣いてしまいました。結果、その部分は0点となってしまい、この年も落ちてしまいました」

「本番で舞い上がる人は、ケアレスミスをします。試験は人間を見るのによくできている万能なものだと思いました」と語った田中さんは、意気消沈しつつも、早稲田の法学部に入学することを決めました。

1浪で早稲田に入った田中さんは、大学生活で思うように楽しめず、「拗ねていた」そうです。

「前年度の失敗を引きずっていたんです。自分は根っからの勉強好きで、まだできるなと思いましたし、ケアレスミスで落ちたのがすごく悔しかったので。だから、受験に備える体力作りをしようと思って空手サークルに入ってみっちり鍛錬し、9月になってからサークルに『再受験をします』と告げて活動を休み、受験モードに入りました」

「今思えば、早稲田の授業はいい先生ばかりでとてもよかった」と振り返り、拗ねていたのが申し訳なかったと語る田中さん。前期・後期もちゃんと授業を受けて、単位をとりながら、仮面浪人をしていたそうです。

前年度に落ちた理由を「慢心」と心に刻んだ田中さんの9月以降の生活は、2年連続で失敗した共通1次の勉強に真面目に取り組み、本番に備えていました。

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