「カスハラ」法整備でもそう簡単に解決しない事情 「お客様は神様」で生きてきた中高年の壁も

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カスハラ
今こそ行政、企業、顧客となる人々、それぞれの意識が問われているように見えます(写真:KONY Photo/PIXTA)

22日、東京都が全国初となる「カスタマーハラスメント防止条例」の制定を目指す会議を開き、基本方針などが報じられました。

その主な内容は、民間企業の職員と顧客だけでなく、受発注関係にある事業者、公務員と住民、議員と行政職員など、あらゆる職場の間柄におけるカスタマーハラスメント(以降、カスハラに略)を禁じることや、職員を守る企業側の責務規定、防止に向けたガイドラインなどの対策。今回の方針をベースに条例案を策定し、今秋における都議会での成立を目指し、さらに全国への波及が期待されています。

さらに同日、参院予算委員会で岸田文雄首相がカスハラへの対策について「現在、厚生労働省の検討会が議論されており、専門家の議論を踏まえ、法整備も含め必要な対応を検討する」という方針を述べたことが報じられました。

厚生労働省の実態調査などでは「カスハラの深刻度はパワハラやセクハラ以上」とも言われるなど、社会問題化しつつあるのは間違いないでしょう。どんな実態と問題があり、都や国の対応で何が求められているのか。

長年、お悩みコンサルをしている私のもとにも、カスハラに苦しめられる人からの相談も多く、そこで見えた傾向も含めて掘り下げていきます。

線引きが難しく我慢を強いられる

21日、私鉄各社が加盟する日本民営鉄道協会が昨年、大手私鉄16社などで駅員や乗務員に対する暴力行為が144件発生したことを発表しました。コロナ禍に突入した2020年に減少して以降3年連続で増加し、発生の経緯では「理由なく突然に」「酩酊者に近づいて」「迷惑行為を注意して」が多かったという点に深刻さが表れています。

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