消失危機!「輪島塗」は復活できるのか【後編】 「街はまるで時が止まっている…」現地を取材

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その下支えの職人がいなければ、輪島塗は消滅してしまう。すべてが崩れた今だからこそ、逆ピラミッドの構造を変えて彼らに光を当て、正当なお金を渡したい。

そう考えた赤木さんは、輪島塗の復興の第一歩として、「小さな木地屋さん再生プロジェクト」を独自に立ち上げた。

独自に立ち上げた「独自の再生プロジェクト」

震災直後の池下さんの工房。建物は半壊。中は入ることができないほど崩れている(写真:赤木明登)

「このプロジェクトは、震災後被災して建物が全壊していた木地師の建物を再建し、仕事ができる環境を、寄付金を募って作ろうというものです。輪島はいまだに人々が生活する最低限のインフラや住宅でさえ支援がどうなるか不確定な状況。輪島塗のための支援や補助金を待っていたら、職人がいなくなり未来はない。自分でできることをするしかないと考えました」

被災した職人さんと連絡が取れない中、1月下旬、最初に連絡が取れたのは挽物師・池下さんのお嬢さんだった。仕事場が半壊したと聞き、すぐに崩れた建物を訪ねた。

「86歳の池下さんと話をしたら、まだ職人として仕事をやりたいと言ってくれた。だからなんとかしてここを再建して、輪島で最初に立ち直った輪島塗の工房として光を当てたかった。改めて木地職人の方の仕事の大切さを知ってもらう場所にしたいと思いました」

池下さんは、江戸時代から続く木地屋の職人だ。輪島塗に長きにわたって携わり、代々技術を継承してきた池下さんの工房を再建したい。その思いを赤木さんはSNSに詳細に載せ、寄付を募った。

再建後の池下さんの工房(写真:赤木明登)
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