消失危機!「輪島塗」は復活できるのか【後編】 「街はまるで時が止まっている…」現地を取材
輪島から「職人」が消える
「僕のところから独立し、輪島で塗師になった若い子たちが6人いました。けれど、被災をきっかけに5人は他県への移住を決めましたね」
少し遠くを見て、指を折りながら独り言のように塗師の赤木さんが呟く。
「花野くんは金沢へ、福崎くんは兵庫かな。安齋夫妻は千葉へ行ったし、関くんも京都でやると決めた。土田くんは小松へ行ったし、輪島に残ったのは鎌田くんだけかな……」
若い彼らは家族も養わなければならない。壊滅した輪島の復興を待つことなく他県に行くと決めたことは、責められることではなかった。
一方、一緒に器を作っていた木地師たちは、安否確認の連絡もままならなかった。
高齢者の職人は携帯電話を持たない人も多い。連絡がつかずに倒壊した作業場を何度も訪れても、留守で会うことができない状況が続いた。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら