ユーハイムの「AI職人」を進化させた意外な存在 神戸にAIラボ開設のマイクロソフトが支援

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AIを活用した専用オーブンで焼き上げたユーハイムのバウムクーヘン(左)。マイクロソフトのAIラボが、オーブンの機能進化などの面で支援している(筆者撮影)

マイクロソフトの日本初の「Microsoft AI Co-Innovation Lab(以下、AIラボ)」が10月11日、神戸市にいよいよ開所した。同社が本社を構えるアメリカ・レドモンドや中国・上海などに次ぐ、世界で6つ目の拠点となる。

AIラボは、AI(人工知能)を中心とした新しいアプリケーション領域を顧客と共創、開拓するための拠点だ。マイクロソフトが積極的に開発に関わり、すばやくプロジェクトを進める一方、生まれた成果の知財はAIラボを利用した企業にすべて帰属する。

マイクロソフトにとっては、顧客自身が最新技術を用いて何を作りたいのかなど、具体的なニーズを拾い上げる利点がある。問題解決の道筋をともに見つけていくことで、同社の提供するサービスや開発フレームワークを洗練させることも可能となる。

グローバルではすでに800社以上との共創関係が誕生しているという。しかし日本のAIラボでは、他国とは一味違った新しいアプリケーションやソリューション誕生への期待が持たれているようだ。

バウムクーヘン焼き器で技術支援

実は神戸には、マイクロソフトのこのプログラムを先行して利用している企業があった。大正時代、日本に捕虜として連れてこられたドイツ人が創業したユーハイムである。

ユーハイムは2019年、機械学習技術を活用したバウムクーヘン専用オーブン「THEO(テオ)」を自社開発した。そしてTHEOの機能をさらに進化させるため、アメリカ・レドモンドのAIラボと共創関係を結び、マイクロソフトのエンジニアらが技術支援に取り組んできた。

なぜマイクロソフトのAIラボがバウムクーヘンを焼く機械を?と、疑問に思うことだろう。

その答えの前に、なぜ”バウムクーヘン”なのかについて触れたい。この事例は、日本という国でAIラボが運営される意義にも関係してくると思うからだ。

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