京都の織屋は平安時代より1500年の歴史があり、世界の絹織物の代表産地であるイタリアのミラノの800年やフランスのリヨンの600年と比べても圧倒的な伝統を誇る。しかし、ここ30年で西陣織の市場は劇的に縮小してきている。
はたして、西陣織はこのまま消滅してしまうのか――。
国内外の投資会社でファンドマネージャーや投資啓発などの要職を20年経験後、投資の研究と教育を行うWealthPark研究所を設立した加藤航介氏。
英米で10年を過ごし、世界30カ国以上での経済・投資調査の経験を持つ加藤氏が、「投資のエバンジェリスト」という視点から、京都・西陣織が置かれた現状を解説する。
*この記事の1回目:世界が憧れる京都「西陣織」はエルメスになれるか
伝統工芸の「裏側」で「厳しい問題」に直面している
京都・西陣織。誰しも聞き覚えがある日本を代表する伝統工芸ではあるが、茶道や華道、能や歌舞伎などを和装で嗜んでいる女性の方を除き、実際にその製品や産業の実態に馴染みのある方は少ないのではないだろうか。
物事にはつねに「表」と「裏」がある。世界から注目を集める華やかな伝統工芸の裏側で、西陣織は「職人の後継者育成」という厳しい問題に直面している。
前回『伝統工芸「京都・西陣織」は「エルメス」になれるか』では西陣織の世界からの熱い注目や大きなポテンシャルを取り上げたが、今回は日本の伝統産業が幅広く直面する「課題」に真正面から向き合いたい。
※文中の源兵衛氏とは、今回取材先であった西陣織・織元、誉田屋源兵衛(こんだやげんべえ)の十代目山口源兵衛氏を指します。
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