Z世代の「不安型離職」は本当に増えているのか 「不満はないが不安」で若者が辞める会社の結末

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で、だとすると、Z世代の「不安型離職」は増えているのだろうか。

たとえば大企業(1000人以上の企業)の離職率が微増している、といったデータもある。大企業はやはり安定感があるのか、早期離職率は全体と比べて5~10ポイント程度低く、ただ徐々に離職率が高まっている。職場環境が良くなっているのに早期離職率はほぼ変わっていなくて、大企業でも微増している、というのがデータ上は正確であろうけども、正直、現状はそこまで大きな変化はないのである。

何が言いたいのかというと、不安型離職なるものが世に出現したとしても、別に「急増」しているわけではない。将来もっと増えていくかもという予想は可能だが、早期離職率は30年間ほぼ不変の指標だ。これは本当に、対策が急がれることなのだろうか。

現代では、会社を惑わせるビジネスが跋扈している。「不安型離職が急増しています、あなたのとこも対策しないとヤバいですよ」とささやく人々が、今後確実に、たぶん離職者よりも高い割合で、増えていくだろう。

もちろん起きる前に対応するアジリティは必要だ。でもそれが経営の難しいところで、ときにはやらない勇気も求められる。

みんなちょっとはやっぱり不安なんだな

もう1つ気をつけたいのは、仮にZ世代の不安型離職が増えているのだとして、「非」Z世代の「オトナ」は、何をすべきなのかということだ。

不安型離職という概念が提起され、世に広まり、対策が叫ばれる。うちの会社でも話題になっている。経営陣は、部下の中間管理職に厳命する。

「不安型離職というのが流行っているらしい。若手社員は不安を感じている。対策を頼んだぞ」

さて、中間管理職は、何をすべきだろうか。

話変わって、昔、大学スポーツのコーチをしている人が、声を震わせて吐露するのを聞いたことがある。

「40歳男性が、20歳の女子大生と話すのがどれだけ辛いかわかるか」

次ページ管理職も若者も同じ穴のむじな
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