TVマン見た「絶滅危惧種と暮す民族」驚く日常(前) インドと中国の境界線「最果ての村」を目指す

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何とも言えないざわつく感情に陥るが、車内のたくましい女性たちを見ると、特に危険を感じている様子もなく余裕の表情をしている。

「じゃあ、大丈夫か」

そうやって、怖気付いた気持ちをのみ込んだ。

ピンバレーへ続く悪路の先に、頂上付近に雪が残る6000m級の山々(写真:筆者撮影)

やっとの思いでたどり着いた「ゲストハウス」

ムド村に到着した頃には、夜の6時を超えていた。空は薄暗く、夜の様相を呈している。2人でバックパックを背負い、今晩泊まる宿を探し、辺りをうろついた。

気温が下がりダウンジャケットを着ていても寒い。すると遠くに「TARA CAFE」という看板が見えた。なんとなく、ゲストハウスの匂いがする。

宿泊所「TARA CAFE」(写真:筆者撮影)

「ここ、宿ですか?」

「あーそうだよ。2人?」

真っ黒に日焼けした30代くらいのたくましい、平たい顔の男性がそう答えた。運よく、1軒目で宿を引き当てたようだ。

「今、奥にあるヤギ小屋の上の部屋しか空いてないけどいいかい?」

「はい。大丈夫です」

部屋はカザの宿よりも質素な山小屋であったが、必要最低限のものはすべてそろっていた。2つのベッドと大きなキャンドル、硬いベッドには分厚い敷布団が敷かれ、チベット柄の掛け布団が数枚重ねられている。

さらに、寒くなったとき用の予備の毛布も積み上げられており、電灯はないが、スマホを充電できるコンセントまであった。

部屋の土壁は、乾燥やひび割れを防ぐためにわらを混ぜた粘土の厚造りになっており、そのおかげで暖かく、雪に覆われて、マイナス30度まで気温が下がる冬でも過ごせるようにと設計された、よく考えられた構造だ。

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