TVマン見た「絶滅危惧種と暮す民族」驚く日常(前) インドと中国の境界線「最果ての村」を目指す

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宿泊室
山小屋のような宿泊室。下にはヤギ小屋がある(写真:筆者撮影)

家族のように暖炉を囲み、名物料理に舌鼓

宿の食堂は暖炉を囲むように配置され、まるで家族の食卓のような雰囲気だった。

そこには3人のインド人男性客が座っていた。彼らは、1週間の山登りから戻ってきたばかりだという。

「なんでこんな辺ぴな場所まで来たの?」と尋ねると、3人はジョークを交えながら、目的は、スピティに住む美しいチベット仏教徒の少女をめぐる禁断の恋物語、『Paap』というボリウッド映画の撮影地だからだと答えた。

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彼らのうちの1人が映画オタクで、ロケ地の美しさに魅了され、聖地巡礼のためにここまでやってきたとのこと。

ここの大自然の美しさはインド人も魅了するほどで、トレッキングを終え、「なぜ、監督がここを映画の撮影地として選んだのかがわかった」と笑いながら答えた。

それにしても、このような辺境のチベット仏教の聖地に、別の意味で“聖地巡礼”に訪れるインドの映画オタクの熱狂は、日本のアニメオタクに通ずるところがある。

その後、俺たちは暖炉を囲み、遅くまで談笑しながら、チベットの焼きそば「卵と野菜のチョウメン」を堪能した。

その後、2人で部屋に戻ると、見知らぬ土地への移動と高地を猛ダッシュした疲れからか、泥のように眠りについた。

チョウメン
チベットの焼きそば「卵と野菜のチョウメン」(写真:筆者撮影)

朝早く、床下で飼われているヤギの鳴き声で目を覚ました。「メーメー」という声に混ざり、カナさんの歓喜の声が響く。

「ごっつさん、見てください。窓からの景色、最高です」

窓の外には茅葺きの屋根があり、奥には田んぼが見える。その向こうには、美しい渓谷に沿ってまるでじゅうたんが敷かれたような緑が広がっている。

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