「話題の商品」つい買ってしまう人が損する盲点 「知ってるほう」選んでしまう親近性の魔術とは

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より一般的な姓であるウィリアムズを「どちらの候補者に投票しますか?」という設問のすぐ下に記載したところ、ほかに情報がない場合、被験者の3分の2がウィリアムズを選んだ。この結果は、「なじみのある名前と投票用紙の最初にある名前が有利になる」という実験結果とも一致する。

社名や商品名に個人名をつけたがる理由

一方で、カムとゼクマイスターは、ウィリアムズの優位性に対抗するために、グリフィンの名を、被験者が認識できないほど短い時間、スクリーンに繰り返し映し出した。この条件のもとでは、ウィリアムズを選ぶ割合は13%減ったので、ウィリアムズは2倍の票差ではなく、かろうじて勝利するにとどまった。グリフィンの名前をくり返し被験者に見せると、「彼に投票する」と回答した人数は増えた。

無名の候補者が、地域の選挙戦で親近性を高めて票を増やせるとしても、実際の選挙では、短時間名前を点滅させるような微妙な方法で投票先が13%も変わることはない。

特に注目を集めるような選挙戦では、そうした微妙な方法の効果は、広告や電話攻勢、公開イベント、マスコミ報道、思いがけないニュース、そのほか実際の投票に影響を及ぼすあらゆるものに太刀打ちできないだろう。そうは言うものの、この研究は、私たちが十分な自覚もないまま親近性をもとに意思決定をしかねないことを証明している。それはアメリカで選挙の前に、ヤードサイン〔選挙の際に自分の支持する候補者の名前を庭などに掲示するための看板〕や横断幕が急増する理由の説明にもなる。

マーケティング担当者は折あるごとに、認知度と信頼感を植えつけるために親近性に訴える。ラルフローレンやIKEAのような企業が、商品に固有名詞をつけたり(たとえば、「ハンプトン」シャツや「ビリー」本棚のように)、新興企業がよく知っているものを想起させるような名称(たとえば、自動運転トラックメーカーのニコラ・モーター社は、交流電流を広めた発明家ニコラ・テスラの名前を使うことで、象徴的な発明家とEV業界でもっとも有名な企業の両方に結びつくようにしている)をつけたりする理由もそこにあるのかもしれない。

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