「どのシャンプーを買おうか」「どのサブスクリプションサービスに加入しようか」など、私たちは日々選択をしている。私たちはこれらの選択は自由意思のもとに行っていると思っているが、実は私たちには心理的な「癖」があり、商品やサービスにおけるちょっとした工夫が、消費者の購買行動を左右するのである。今回、人間のさまざまなバイアスと選択行動について、行動科学の知見をもとに掘り下げた『自分で選んでいるつもり:行動科学に学ぶ驚異の心理バイアス』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。
外見の良さがほかの印象も良くする
何か一つ気になる点があったとき、それで相手の性質全体について結論を出してしまう。
よくあることだ。1920年にコロンビア大学の心理学者エドワード・ソーンダイクが、このような決めつけはごく一般的に起きると明らかにした。
ソーンダイクの実験では、被験者となった陸軍将校に、体格、自発性、忠誠心、きれい好きかどうかなど、31種類の資質で新兵について評価させている。
結果を見ると、新兵の評価は、まったく無関係な資質同士が驚くほど強固に連動していたことがわかった。
たとえば外見など、ある資質において一人の兵士を高く評価した場合、統率力など、別の資質においてもその兵士に平均を上回る評価をつける。一つのポジティブな特徴があれば、ほかの特徴の印象もよくなるという傾向を、ソーンダイクは「ハロー効果」と名付けた。
本当にそんなふうに評価が連動するのか疑わしく思うかもしれないが、エビデンスはほかにも確認されている。
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