ドナルド・トランプは、2000年代に制作されたリアリティ番組『アプレンティス』で、決断力があって不真面目なことを許さない、桁外れに裕福なビジネスリーダーを脚色した「ドナルド・トランプ」を演じて有名になり、全国的な名声を得た。
ポジティブすぎる評価に真の価値はない
その役柄としてのトランプ――タブロイド紙をしょっちゅうにぎわせる、1990年代に倒産したカジノの経営者より魅力的――になじみのある人は、彼が実際に大統領候補になるという考えを受け入れやすかったのだろう。
トランプとバイデンを「候補者A」と「候補者B」とし、ロシアとアメリカを「Ⅹ国」と「Y国」としたら、どちらが正しくてどちらが間違っているか、どちらの政策が賢明でどちらの政策が誤った方向へ導くか、どちらが明らかに腐敗していて、どちらが高潔であるかなど、もっときちんと評価できるだろう。いずれにせよ、対象の名前や身元を隠して異化することで、新しい観点でそれを見られる。
人気や名声や社会の認知度は、しかるべきタイミングにしかるべき場所にいたのが主な要因である。親しみを覚えるものは、おそらく見かけほど本質的によいもの、貴重なもの、見習う価値のあるものではない。裏を返せば、ランダムな要因がただ災いして、多くの価値あるものが「今は人気がない」ということもある。じっくり吟味すれば、宝石の原石が現れるかもしれない。
ネガティブな評価がほとんどなく、ポジティブな評価が山のようにある場合、ポジティブな評価をあまりまともに受け取らないほうがいいだろう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら