大学生活で「発達障害」が悪化しがちな理由とは?「自由」が諸刃の剣に。大学生活に潜む《メンタルダウン》の要因4つを紹介

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大学生
大学生の年代で、発達障害が悪化しがちな理由とは(写真:Fast&Slow/PIXTA)
高学歴で知的レベルが高く、有名校や一流企業に所属している。
ところが些細なことがきっかけとなって、それまでの「人生経路」からドロップアウトしてしまう。
精神科医の岩波明氏が対峙してきた、そんな人たちに共通していたのは、発達障害を抱えているということ。
本稿は、『高学歴発達障害 エリートたちの転落と再生』より一部を抜粋しお届けします。

「自由」が諸刃の剣に

大学生の年代で受診する人たちは、過去に専門病院への受診はしておらず、ASDやADHDの診断がついていない例が一般的である。

高校生までは、比較的症状が軽い場合は本人や家族が気づいていないこともあるし、自覚のあるケースにおいても、自分なりの努力で問題が生じていないことも多い。

しかし大学生になると、生活の自由度が高まる一方で、自分なりの判断や行動が求められる状況が増加する。一部のケースでは、これまでの「しばり」から解放されてのびのびと生活できるようになるが、一方で、単身生活などで自己管理がうまくできず、不規則な生活を繰り返して不適応が生じることもみられている。

こういったケースにおいて目立つのは、生活リズムの乱れである。高校までは学校のきまりに従って規則正しい生活を送れていた人が、自由度の高い大学生活では夜更かしを繰り返して生活のリズムを乱し、大学に登校できなくなりやすい。サークル活動やアルバイトのために帰宅が深夜になり、そのままだらしない生活を続けている例も多い。

このような現象は一般の大学生においても珍しいことではないが、発達障害、特にADHDの特性を持つ人は、元来昼夜のリズムが不安定な面があり、このような状態になりやすい。さらに専門課程の難易度の高い勉強についていくことが難しくなり、本来は十分な能力があるにもかかわらず、ドロップアウトしてしまうケースもみられている。

大学生になると、高校時代まで存在していた「規則」や「縛り」から自由になれる一方で、勉強においても生活面においても、本人の責任が重くなる。遅刻や欠席を繰り返してもとがめられはしないが、授業の単位をとれずに留年してしまうことにもなりかねない。

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