イタリア人精神科医が語る「日本人の生きづらさ」 「察する」ことで自身の感情表現を蝕んでいる

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de learningのプロセスは単純なものとはいえず、長年構築した感性の軌道修正は、一回の取り組みでどうこうできるものではありません。しかし、こういった体験の積み重ねは、その一助となり得ます。テクニックは以下となります。

「自分の好きなこと、嫌いなこと」を口にする

まずは、「1日1つ、自分の好きなこと、嫌いなこと」を口にしましょう。
そうすることで、「個人的なアイデンティティー(personal identity)/固有性」が表出でき自分の好き嫌いを強く意識できます。

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ポイントは声に出すこと。そうすることで、自己肯定感がより高まります。カウンセリングを通じて見たときに、自身の存在がまるで「迷惑」だと感じている日本人が、少なからずいることに驚かされます。

そのような傾向にある人たちにとっても、自分の存在を肯定する第一歩になるでしょう。

慣れないうちは、一人のときに声にすればOK! 別に誰かに対してできなくてもいいんです。

次のステップで、信頼できる家族、親密な関係の人にも大胆に自分を表現してみましょう!

最初は、恐る恐る口にすることになるかもしれませんが、徐々にその「醍醐味」を感じるようになれるはずです。

パントー・フランチェスコ 精神科医
Pantò Francesco

1989年イタリア・シチリア島生まれ。サクロ・クオーレ・カトリック(聖心カトリック)大学医学部卒業。幼少期に『美少女戦士セーラームーン』に感銘をうけ、多くのアニメ・マンガ文化に触れるうちに、将来日本に住むことを決意。イタリアの医師免許を取得後、ローマ最大であり、イタリア国内では2番目の規模を誇る、ローマ教皇御用達のジェメッリ総合病院勤務を経て、日本政府(文部科学省)の奨学金留学生に選ばれ来日。
イタリア人で初めての日本医師免許所得者となる一方で、筑波大学大学院博士号取得(医学)。慶應義塾大学病院にて初期研修医として研鑽を積んだのち、同大学病院精神神経科教室に入局し、精神科専門医となる。

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