第4回ダイバーシティ経営大賞・パネルディスカッション--受賞企業担当者に聞く経営戦略としてのダイバーシティ

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また、CEOがチェアパーソンを務めるDIACと呼ばれる月例のダイバーシティ会議も行っています。CEOと主要役員3名、マネジャー4~5名が参加していろいろな議題について協議します。ちなみに今月のDIACの議題には、「男女の営業社員の成績の平均値を比較する」というテーマがあります。どちらが高いかといえば、答えは当然、女性です(笑)。そして、女性の成績のほうがよいのであれば、なぜ女性の営業管理職が少ないのかという話が展開されていきます。そこで「女性は結婚して辞める」ということが問題となれば、女性が辞めないようにするにはどのような施策があればいいかということを検討していきます。

ダイバーシティの推進において、CEOの果たす役割は重要です。当社では、今年2月に新しいCEOが就任しました。40代前半のベルギー人の男性ですが、就任直後に「自分にダイバーシティのレクチャーをしなくても大丈夫。その価値は十分認識しているので、強く推進するように」と言われました。彼は前職ではアクサ・ガルフのCEOとして中東数カ国のビジネスを統括していました。その1カ国、サウジアラビアでは男女の分離が法的に定められています。男女がオフィススペースを共有することも、会議で同席することも認められておらず、同席する場合は政府に届けを出さなければなりません。しかし、CEOはそうした環境にありながら、「女性は優秀で意欲があったので、女性の活躍を推進してきた」と言っています。日本には男女雇用機会均等法や推進法もあり、法律で女性の活躍が奨励されています。彼がこの日本でどういうことを行うのか、私はいま大変期待しているところです。

続いて障害者雇用についてお話しします。当社の障害者雇用率は2年前は1%を下回っていました。ここ2年で採用を推進し、現在は1.93%と基準を満たしています。しかし、ここで重要なのは単なる雇用率の数字ではなく、「選ばれる企業になる」という戦略に活かされているかということです。障害者雇用でどのようにして選ばれる企業になるかといえば、ステークホルダーの方々にアクサでなければならないという理由を与えるということです。保険商品は、3カ月ぐらいで他社のものをコピーできてしまいますが、その企業の文化や価値は簡単にコピーできません。このような考えの下に当社では障害者雇用を推進しています。

 

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