第4回ダイバーシティ経営大賞・パネルディスカッション--受賞企業担当者に聞く経営戦略としてのダイバーシティ
○森
シャープ株式会社人事本部人事部ダイバーシティ推進チームの森です。当社が「多様な人材をオンリーワン経営の戦力に」の実現に向けて、どのような取り組み、活動を行ってきたかについてお話をさせていただきます。
当社の創業は1912年で、来年100周年を迎えます。1915年に創業者の早川徳次が発明した「シャープペンシル」が当社のオンリーワン商品の始まりであり、そのシャープペンシルの「シャープ」が社名や商標の由来になっています。
経営理念にある「いたずらに規模のみを追わず、誠意と独自の技術をもって、広く世界の文化と福祉の向上に貢献する」が現在のオンリーワン経営に、また、「会社に働く人々の能力開発と生活福祉の向上に努め、会社の発展と一人一人の幸せとの一致をはかる」がダイバーシティやワーク・ライフ・バランスの考え方につながっています。ここでいう事業の拡大が「オンリーワン戦略」であり、それを社員の幸せと一致させることが人事の役割であると考えています。
ダイバーシティに取り組んできた背景ですが、当社はもともと、一般職、総合職の区分がなく、また男女同一賃金処遇体系で、社員一人ひとりがその個性や創造性を発揮して、「柔軟な働き方ができる」制度の立案や改定に取り組んできました。育休制度も90年にスタートしています。
しかし、2000年代に入り、ビジネスのグローバル化や少子高齢化といった社会環境の変化の中で、多様な人材の活用、ダイバーシティ・マネジメントが経営戦略上で重要性を増し、まずは女性の活用からと「ポジティブ・アクション」に着手しました。当時、現会長の町田(勝彦氏)の「すべての仕事でオンリーワンを追求する“オンリーワン経営”を進めるうえで、常識にとらわれない新しい発想が不可欠。それには多様な人材が活き活きと力を発揮できるようにしなければならない」との号令の下、スタートしています。