その状態のままで2次試験を終えた彼女は、落ちたと思い込んだまま合格発表日を迎えます。
「合格発表のある12時まで家庭教師のアルバイトが入っていました。指導が終わったあと、教えていた男の子に『今日合格発表なんだよね』と話したらスマホを取られて『何番?』と聞かれたんです。『落ちてるからやめて〜』と言いながら番号を伝えたら『あるけど』と言われて、慌てましたね。
家に書類が届いても、事務が手続きを間違えたとか、採点ミスかなとか思って、ずっと信じられなかったです。親と友達も合格すると思わなかったらしく、報告すると驚いていました」
親は「あなたが生きてさえいてくれたらいい」
こうして2浪の年齢で東大に入ったTさん。
浪人してよかったことを聞いたところ、「世間が失敗とみなすことがマイナスとは限らないと思うようになった」、頑張れた理由は「親のおかげ」だと答えてくれました。
「東大でできた友達はとても優秀で素晴らしい人たちですが、一方で完璧主義な人も多いと感じます。そうした考え方だと、『新卒で就職できなかった人』『留年した人』『仕事を辞めた人』などを『失敗した』と捉えるはずです。
ですが、自分は浪人をしたおかげで開き直れて、『人生そういうこともあるよね』と思えるようになりました。私ももし現役で東大に入ってたら、鼻高になっていただろうし、挫折が怖くなっていたはずです。
自分の失敗に対して過度に落ち込まず、変えられる未来をよくしようと前を向けるようになったこと、他人の失敗や挫折に対して以前よりその苦しさを想像して寄り添えるようになったこと、王道でない“コスパ”のよくない生き方も楽しめるようになったことは、挫折や浪人によって得たとても大きな収穫だと思います。
そして今の自分があるのも、『あなたが生きてさえいてくれたらいい!』と言って応援してくれた両親のおかげだなと思います。人生がどん底だった時期に、親に相談したことで、どれだけ自分のことを思ってくれているのかを知ることができました。そう言ってくれる人がいるから、『私は絶対に幸せにならなきゃいけない』と思えて人生が上向いたので、これから両親には恩返しをしていきたいですね」
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