開成高等学校に入っても学習塾のエデュカに通い勉強を続けていた彼は、同級生の中でも成績は上のほうだったそうです。
「400人いる同級生の中でつねに100位以内には入っていました。開成での100番以内は『百傑』と呼ばれています。この順位までに入っていると、東大にはまぁ受かるだろうというレベルです」
このまま順当にいけば東大に入れるという状況だったシーナさん。ですが、彼自身は将来に不安を抱えながら生活を送っていました。
「1年生のときから進路をぼんやりと考えていたのですが、2年生になってから、医者以外の仕事をやっている自分が想像できなくなったんです。父親の姿を見ていたのもあり、アイデンティティー的にもしっくり受け入れられるなと思ったので、医学部を目指そうと思いました。その中で、『男たるものトップを目指すぞ!』と考えて、東京大学の理科Ⅲ類を志望校に設定しました」
とはいえ、年間で100人しか入れない「理Ⅲ」は、開成の中でもトップ10に入らないと難しいレベルです。いいときの成績で50位くらいだった彼は、高校に入ってから再開していた野球と両立しながら、現役で合格するのはきびしいと考えました。そこで、野球をやらせたかった親に相談することにします。
「親は野球を3年間やったほうがいいと強く思っていたので、『野球を続けたら浪人する可能性が高い』と伝えたのですが、『落ちても浪人してもいい』と言ってくれたので、野球を続けながらも最後まで現役での合格を目指す覚悟を決めました」
開成内の数学模試で1位を獲得
こうして彼は引退する3年生の夏まで、15時半に授業が終わってから3~4時間の部活をこなす日々を送ります。部活が終わるまでの模試の合格判定は、東大の理科I類でA判定だったものの、理ⅢはE判定ばかりだったようです。
「2次試験が440点満点なのですが、理Iと理Ⅱはだいたい210点取れれば受かると言われています。僕は夏の段階で220点取れるようになっていて、『理Ⅲじゃなければ受かるだろう』という状態になっていました。でも、理Ⅲは280点必要で、部活が終わってから入試本番までのあと半年で、この60点分を詰められるかが勝負でした」
部活が終わってからスパートをかけたシーナさんは、秋の模試では理ⅢでC判定が出て、校内の最後の実力模試では数学で1位を獲得するなど、着実に学力を積み上げていきました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら